命の恩猫。
昨年の今頃。
過食症に苦しんでいた私は、生きていることが苦痛でたまらなかった。
一人暮らしを始めたものの、仕事の忙しさから心に余裕を無くし過食症が悪化したため、実家に戻って療養している時期だった。
母には全てを打ち明けていたので、過食や嘔吐を隠すことはしなかったけれど、せっかく用意してくれたごはんを胃に詰め込みトイレへと駆け込む度に、申し訳ない気持ちでいっぱいになった。
食べて、吐いて。また食べては吐く。
そんなことを繰り返す毎日に、生きていることの意味も価値も感じられず、
早く楽になりたい。苦しさから解放されたい。
このまま目が覚めなければいい、と思いながら眠りにつき、朝を迎えると絶望的な気持ちになる。
終わりの見えない闘いに、心身ともに疲れきっていた。
そんな時。
叔父が飼っている猫が子供を5匹産んだので、一匹だけ我が家で引き取ることにした。
白とグレーの毛色で、しっぽの短い男の子。
後にその子は、死にかけていた私の心を救ってくれる存在『命の恩猫』となったのです。